技術名称 |
コンクリート構造物のひび割れ検出塗装システム |
登録No. |
CB-120002-A |
副
題 |
予め構造物に特殊な塗装をして、その塗装された構造物のひび割れ箇所を紫外光照射により発光させ検出するシステム |
分 類 1 |
調査試験 - 構造物調査 - 非破壊試験、調査 |
区分 |
システム |
概 要 |
①何について何をする技術なのか?
予めコンクリート構造物の表面に特殊な塗装をしておき、以後に発生したひび割れ箇所に特定波長の紫外線を当てると発光することでひび割れ箇所を検出するものです。
②従来はどのような技術で対応していたのか?
コンクリート構造物のひび割れを
・ 車上からの目視
・ 徒歩による目視・遠望
・ 現場でのスケッチや、机上で展開図の作成
のように点検していました。
これらによるひび割れ検出は、点検者が熟練していないと発見できず、また見落としもありました。
本システムを活用すると、ひび割れが紫外線を当てると発光するので、点検に熟練度は不要で、誰でも素早く、正確にひび割れを発見出来ます。
③公共工事のどこに適用できるのか?
公共性の高い構造物、又は、施設で予防保全を行う必要があるものです。
・ 高架道路のコンクリート床版、橋桁、橋台、橋脚
・ 高架鉄道のコンクリート床版、橋桁、橋台、橋脚
・ トンネル内壁
・ 鉄鋼構造物
・ アンカーボルト周辺
④その他
特殊な塗装は2層の異なる塗料で構成されており、第1層は紫外線にて発光する高弾性の塗料で第2層は紫外線を遮断する高硬度の塗料です。
基材のコンクリートにひび割れが生じると、第一層は高弾性で伸びるので、破断せず、第2層は高硬度なので破断して第一層が露出されます。
その露出部分に紫外線が照射されると発光することでひび割れを検出することができるものです。
定期的なひび割れ点検を要するコンクリート構造物の表面へ、本件塗装を施しておくことにより点検時には容易に、また精度高くひび割れ箇所を検出できるようになります。
そして、暗所や遠望での目視でもひび割れの発見が容易になります。
検出記録に関しても、直接構造物にチョーク等で書き入れたり、手書きでスケッチするのはなく、デジタルカメラで撮影し、デジタル画像で記録する事で、点検 者の主観の入らない純粋なデータを取得でき、また、過去の記録と照会も容易になり、詳細点検を要する部位や範囲の特定、ならびに臨時点検に際する精度向上 を図ります。
既に発生したひび割れに本塗装をしてもひび割れは紫外線により発光せず検出できないが、そのひび割れが広がった部分に関しては、第二層の塗膜は破断して紫外線照射で発光し、ひび割れを検出できます。 |
新規性及び期待される効果 |
①どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
・
特定波長の紫外線をあてることでひび割れ等の損傷箇所が発光する
・
点検者各々の判断基準に頼る事なく、発光箇所がひび割れ箇所と認識できる。(点検者の熟練度は不要となる)
・
日常的にひび割れ状況をデジタル画像で撮影し、過去の画像と比較するだけでその進行程度や変動を得る事ができる。
・
これらにより適切な時期に詳細点検箇所を抽出する事が可能となる。
・
塗装塗膜が透明なので、詳細点検時に点検者が実際のひび割れ幅をクラックスケールを当てて測定できる。
②期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
・ 熟練検査者による作業を軽減
・ ひび割れの見落としの低減。
・
点検が簡易、安価なので検査回数を増やし、安全性の向上が図れる。
・
地震等の災害時にも必要に応じて、ハンディライトを携行する事で、現地踏査によるひび割れの検査が安易に出来る。
・
ひび割れの記録を手作業によるスケッチから発光部位をデジタルカメラによる撮影に置き換えられることで、より客観的なデータを短時間に取得できる。
・
第一層目の塗膜は高弾性塗膜であり、軽微な剥落程度であれば未然に防げる。
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適用条件 |
①自然条件
・ 降雨,降雪や霧がないこと
・ 周辺温度 : 0℃以上
・ 相対湿度 : 85%以下
②現場条件
・ 作業時、 塗装する面が乾燥していること
・ 作業時、 粉塵等の飛散の無いこと
③技術提供可能地域
・全国
④関係法令等
・特になし |
適用範囲 |
①適用可能な範囲
・ 新設コンクリート (現場うち)
・ 新設コンクリート (二次製品)
・ 塗装塗膜面 (撥水・撥油塗膜は不可)
・ 補修直後の既設コンクリート
②特に効果の高い適用範囲
・ 将来的に定期点検を要求される部位, 構造物, 建設諸資材
・ 日常的に目視点検を要求される部位, 構造物, 建設諸資材
・ トンネル覆工コンクリート
・ 橋梁下部 (床版, 橋桁、橋台, 橋脚)
③適用できない範囲
・ 点検を要しない 「部位」
・ 点検を要しない 「構造物」
・ 点検を要しない 「建設諸資材」
・ 直射日光のもとで検査が必要な部分
(紫外線ライトで発光したひび割れが直射日光によって遮られ見えないため、しかし、室内の蛍光灯程度の明るさならば、ひび割れの発光は検出できる。)
④適用にあたり、関係する基準およびその引用元
・ 特になし |
留意事項 |
①設計時
(点検前) 予め特殊塗料を塗装しておく必要があるため、
塗装足場が必要となる事がある。
②施工時
(塗装時)
特殊塗装に際し、周辺環境が適用条件に適したものであること。
(気温, 湿度等)
(点検時) デジタル画像取得の際は、
機材類が水濡れしないよう、降雨時は避ける事。
③維持管理等
(適用後) 一年に一回程度、機器類の動作確認等を行う。
④その他
(点検時) 塗装完了後、翌日より点検作業が可能である。 |